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アシュタンガヨガのある毎日
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シッダールタ

ヘッセの『シッダールタ』を3年ぶりに読み返してみた。

これってビートニク世代(1950年代)のバイブルらしい。
そして、ヒッピー世代(1960〜70年代)の愛読書。
ヒッピー文化って小さいときに垣間見ているので、
胡散臭いものだと思っていたときもあったけれど、
カウンターカルチャーが何であるかがわかってからは、
とても惹かれるようになっていった。
『いちご白書』とかね。
その時代に生まれていたら結構ヤバかったかも。

この小説は映画化もされている。
70年代に製作され、10年ほど前に俳優座で上映された。
私は一時ヘッセばかり読みふけっていた時期があって、
思い入れも深くこの映画を観たけれど、
とても浅い、表面的な理解でしかなかったのだな。

と、今は思う。

3年前、ヨガを始めてから読み返したときに、
以前は読み取れなかったことが心に響いた。
それでも、まだ理解はまったく浅かった。

そう思わせるほど、今回はズシンと来た。
空きっ腹にテキーラをあおったように、
言葉の1つひとつが五臓六腑に鋭く熱く染みた。

この本の主人公であるシッダールタは釈尊ではなく、
同時代を生きた別の人物という設定なのだが、
まったく関係ないかというとそうではなく、大いに関係がある。

その辺の微妙な感じは、釈尊の方のシッダールタ(悉達多)の
生涯やさまざまなエピソード、釈尊の教えについて、
ある程度の背景を知らないと読み取れない。

インド太古の智慧や思想について無知だったころは、
文字どおりしかこの小説を味わえてなかったのだな。

とにかく一行一行、一字一句が深い。
ヘッセのインド哲学に対する知識は相当のものだ。
そして、そこに込められたヘッセの心情を思うと、
なんだかたまらない気持ちになる。
繊細な心と、それゆえの苦悩が伝わってくるような。

とはいえ、理解が浅くとも魅力的な作品である。
何より、ヘッセは詩人だから文章が美しい。
言葉にムダがない。
(原語で読みたいけれど、ドイツ語はさっぱり)

インドについて何の知識がなくても、
生きることについて、愛について、
人生に示唆を与えてくれる1冊。

次に読むとき、私はどれくらい成長しているだろうか。
by chayoga | 2008-11-16 18:34
アシュタンガCHAZEN
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